2010年02月17日
油彩作家 安田悠
euphoriaのライブにもよく足を運んでくれており、
美大時代からの友人でもある油彩作家、安田悠。
彼のウェブサイトを、リニューアル制作しました。
トーキョーワンダーウォール賞受賞、VOCA2008出展、
トヨタアートコレクション収蔵、『美術手帖』はじめアート系メディアへの掲載など、
その活躍にはいつも刺激をもらってます。
新しいサイトは、今までより作品が大きく見られるような構成に。
恵比寿のギャラリーに彼の展示を見に行きがてら、
近くのカフェであれやこれやと打ち合わせた構想が、形になりました。
TOPページ左下の"FULL SCREEN"ボタンを押して、
ぜひ、その作品を堪能していただければと思います。
Yu Yasuda Official Website:
http://www.yu-yasuda.com/
*TOPページの画像は全13種類、サイトを開くたび、ランダムに切り替わります。
2008年11月05日
モーリス・ルイス展
川村記念美術館で開催中の、モーリス・ルイス展を見に行きました。
モーリス・ルイスは、20世紀半ばのワシントンD.C.で、
色鮮やかな抽象絵画作品を数多く残したアメリカ人画家。
当時、新たに開発されたアクリル絵具(多くの画家の間では薄すぎると不評だった)を
さらに薄く希釈し、それをキャンバスの上に流して色層をつくるという
独自の手法で制作した、スケールの大きな抽象作品を残しています。
面白いのは、ハウスハズバンドだったルイスは自宅の小さなアトリエで制作する際、
独り閉じこもって誰も(奥さんさえ)部屋に招き入れなかったそうで、
その制作技法の詳細が未だ明らかになっていないということ。
また彼は、同時代の画家が活躍していたニューヨークから距離を置いて
ワシントンD.C.で独自のスタイルを模索し、生前は無名に等しい状態だったそう。
49歳の若さでこの世を去った時、600点もの作品のほとんどは未公開で、
ロール状に巻かれたままだったということです。
そんな、一見内向的に見えるルイス、
残した作品の潔い色面には揺るぎない確信のようなものも感じつつ、
それをより多くの人の前で発表しなかったのは何故だろうかと、
思いめぐらされる展示でした。
代表作のうち、全ての色が混じり合い混沌の世界を思わせる初期(ヴェール)から、
各色が分かれて余白が生まれていき(アンファールド)、
晩年にはストライプという秩序だった世界を描いたその変遷も面白かった。
余白のある作品の鮮やかな色彩もきれいですが、
全ての色が混じり合ったヴェールは、作家の内面の何かを表しているようにも見えたり、
混沌の中に全ての終わりと始まりが蠢いているようにも見えたりして、
色々感じさせられました。
11月末までだそうなので、関東近郊の方はご興味あればぜひ。
作品が大きいので、実物の迫力はすごいです。
→川村記念美術館 『モーリス・ルイス 秘密の色層』
2008年06月28日
Fantasized Time
学生時代からの友人である、安田悠の個展を見に行く。
場所は、トーキョーワンダーサイト本郷。
独特の色彩とタッチにより紡ぎ出される、曖昧さを孕んだ白昼夢のような世界を描いた
油彩作品が、展示空間を現実と非現実の狭間に誘うようでした。
精力的に作品を制作して展示を行い、
実績を積んで行っている彼の存在は、いつも刺激になっています。
上海でのグループ展をはさんで、
都内での次回展示は、恵比寿のMA2 Galleryにて8/19からとのこと。
どんな世界が展開されるのか、今から楽しみです。
2007年07月01日
東京都現代美術館にて
東京都現代美術館へ、TOKYO WONDER WALL展とマルレーネ・デュマス展を見に行く。
TOKYO WONDER WALL展は、東京都が主催する、若手芸術家の全国公募展。
そこに、学生時代の友人、安田悠が絵画作品を出展しています。
彼の油絵は独特な空気感がある素敵な作品。
今回の展示で彼はTOKYO WONDER WALL賞を受賞し、
来年2月に都庁での個展も決まりました。
友人の受賞は、純粋にうれしいもので。
これ以外にも、美術館学芸員や美術ジャーナリストによる推薦制の展示、
VOCA展 2008(上野の森美術館)への出展なども決まっています。
皆さんも、よければぜひチェックしてみてください。
↓安田悠 ウェブサイト | Yu Yasuda Official Website*
http://www.yu-yasuda.com
※ちなみに、このサイトは僕が作っています。
そして、デュマス展。
南アフリカ出身でアムステルダム在住の女流画家、マルレーネ・デュマス。
2008年にはアメリカのMOMAやMOCAで大回顧展が企画されている、国際的な評価の高い作家です。
彼女の作品は今回、初めて見たのですが、そのパワーに驚きました。
特に、様々な表情の人物を描いたドローイング。
決して写実的ではないのに、ものすごく"リアル"だったのです。
あれは、写実的に描くよりも、ずっとリアルにその人物を描いているのではないかと。
その感覚は、今までに感じたことのないものでした。
様々な感情が一緒くたに渦巻いているかのような表情たち。
薄い筆触の中に、深い人間味がありました。
そんなこんなで、色々と刺激を受けた休日でした。
2007年05月27日
本物が持つ力
混雑覚悟で、国立新美術館で開催中のモネ展に行きました。
が、幸い思ったほどの混雑ではなく。
大回顧展と銘打っているだけあって、100点近い作品が一堂に会した展示は見応え充分。
20世紀以降の作家の作品も比較展示され、
彼らに影響を与えたモネの革新性についても焦点が当てられていました。
今回の展示作品の中で個人的に一番気に入ったのは、
朝霧のかかったセーヌ川を描いたものでした。
彩度の高い色は使わず、全体的に淡いトーンの画面なのですが、
霧の中に、見る者の意識をぐっと引き込むような絵。
"発する"というより、"引き込む"という言葉が似合うように思えました。
ちなみに、画集に印刷されたこの絵を見てみたのですが、
やはりそこには本物の持つパワーは再現されておらず。
当たり前の話ではありますが、
この時代にも、本物を生で見ないと分からないものがあることを再確認できました。
2006年01月25日
Your Light Shadow
photo: Olafur Eliasson "Beauty"
デンマーク生まれ、アイスランド人の現代美術作家、オラファー・エリアソン。
(実際により近い発音はオーラブル・エリアソンとのこと)
原美術館でやっている、日本初という彼の個展を見てきました。
エリアソンは、光、水、風、温度といった自然現象を、人々が体験できるような
インスタレーションとして展開する作家とのこと。
雑誌やポスターなどを見て、良さそうだと期待していったのですが、
実際にその空間に足を踏み入れると、そんな予想を軽く上回る、息を呑むような感動がありました。
たとえば、天井からつるされた、表面が鏡になっている輪。
モーターによってゆっくりと回転するその輪にスポットライトが当たる、一見シンプルな装置。
しかし、その装置によって反射した光が白い壁と天井にゆっくりと描き出す光と影、
そしてその変化は、どんな映像よりも美しいと思えるようなものだったのです。
ミニマルでありながらいつまで見ていても飽きないその作品の名は、"Your Space Embracer (空間を包み込むもの)"。
あるいは、真っ暗な部屋の天井から霧状になって散布される水。
そこにライトが当たり、現れた虹が微妙な空気の流れによって揺らぐ作品、"Beauty"。
壁一面がオレンジ色の面光源で、すべてのものがセピア色をした単色の世界になる部屋。
部屋の入り口にはファンが取り付けられて風が流れる、"Room for One Colour and Windy Corner"……
とにかく、彼の作品の数々はどれもコンセプトがシンプル。
でも、そのシンプルさゆえに際だつ美しさには、尋常ではない力強さがありました。
ライトやモーターなど、人工的な装置から生み出される、美しい自然現象。
それを体験するということによって、すべての出来事は自然の中での出来事という、
当たり前で忘れがちな事実を、知らず知らず考えている自分がいたり。
どの作品も本当に素晴らしいのですが、個人的には特に、
空間全体に光と影が描き出されるような"Embracer"シリーズに目を奪われました。
ここで織りなされる光と影の動きに音を乗せたらどんなだろう、などと思ってみたり。
作品の意味が分からないと面白くない現代美術は多いですが、
彼の作品は、コンセプチュアルでありながらも、まずはとにかく、衝撃を受けるほど美しいです。
ここ最近行った展覧会で、一番良かったかもしれません。
……というわけで、思わずオススメしたくなってしまったので、
東京近郊にお住まいで、もし少しでも興味を持たれたら、ぜひ見に行ってみてください。
そこに行って"体験"する光には、作品を写した写真などからは得られない感動があったので。
品川の原美術館にて、3/5までの開催のようです。
>>>Olafur Eliassonウェブサイト
2005年08月30日
霧がたちこめた森
群馬・伊香保にあるハラミュージアムアーク(品川・原美術館の別館)へ行ってきました。
牧場の一部が現代美術館になっており、緑と現代美術の調和がなんとも心地よい空間。
同じ作品を都会の美術館で見るのとはまた見え方が違うだろうなどと思いつつ、
こういう空間でライブをしたらどういうふうに響くだろうかと考えたりもしました。
そして、近くにある湖に立ち寄ろうとして濃霧にみまわれた帰り道、普段見られない景色に遭遇。
白い霧が立ちこめた森の景色は、「静寂」が絵になったような世界。
車を降りて何枚か写真を撮った後、euphoriaの曲でタイトルに霧という言葉が入った"ferriswheel (in a morning mist)"を流しながら、林道をくだりました。
朝もやのなかにある観覧車、というイメージから名づけられたこの曲。
霧のかかった景色の中で聴いてみて、なんだか、イメージが広がっていくのを感じました。
2005年05月19日
光の色
初夏に向けて、光の色がまた一段と変わってきました。
季節の移り変わりによって、天候によって、日々変化する光の色。
ニューヨーク出身の写真家、Robert Weingartenの写真集"6:30am"を見ると、
光の変化に対する意識はいっそう高まります。
サンタモニカの空を、同じ場所から一年間、毎朝6時30分に撮影した"6:30am"。
写真家の自宅寝室からの景色、というその眺めの良さにまずは驚いたりもしますが(笑)、
とにかく、全く同じ場所を、同じ時間に、同じ撮影条件で撮影しているのに、
写し出される光の色、風景の表情は、一枚一枚、驚くほど変化しているのです。
一日として同じ光の日は無いのでは、とさえ思ってしまうほどに。
意識して「目を向ける」ことの大切さ。
この写真集は、そのことを、感動的な映像体験とともに感じさせてくれる一冊です。
さてさて、ニューアルバム特設サイト、あとほんの少しで公開できるところまで来ています。
山中湖→東京でのレコーディング風景などを収めたメイキングムービーも掲載予定。
アルバムの世界観を感じていただけるであろう、見応えあるサイトになると思います。
楽しみに待ってくださっている方、どうぞあと少しだけお待ちくださいm(_ _)m
photo: Robert Weingarten "6:30am"
2004年11月12日
Freischwimmer
ヴォルフガング・ティルマンス写真展を見に行った。
被写体の多くは、身のまわりにある、もの、人、風景。
それなのに、この人の写真には、独特な吸引力がある。
彼自身がインスタレーションを行った空間も、印象的な写真展だった。
「限られた貴重な瞬間にだけ、人や町の景色がその美しさを自分に開く」
ティルマンスはそう言っている。
そのフレーミングで、そのタイミングで切り取ることで初めて作品となった"貴重な瞬間"。
その瞬間を逃したら二度と訪れないような、崩れかける直前のバランスが生む美しさ。
日常の中に確かにある"貴重な瞬間"。
そこにまなざしを向け続ける彼の姿勢に、感銘を受けました。
Wolfgang Tillmans "Freischwimmer"
photo by Wolfgang Tillmans
2002年11月07日
ファインダー越しの夢幻日
テリ・ワイフェンバッハという、ワシントンD.C.出身の女性写真家。
彼女の"LANA"という写真集を買った。
数ヶ月前、初めてこの写真家の存在を知った僕は、
その詩的、牧歌的で色鮮やかな作品たちに、一瞬で魅了されてしまったのだ。
北イタリアの田舎町LANAの、自然を写した写真。
アウトフォーカスの部分が多いからか、
ローアングルで撮られた作品が多いからか、
小さい子供が野山を駆けまわって体験した発見と驚きの、記憶をたどるような写真集である。
えっと、本当に素晴らしいです。
ご存じない方、よかったら下のアドレスで少しだけ作品が見られます。
http://www.robertkleingallery.com/gallery/main.php?g2_itemId=15316
あまりにもよいので、薦めたくなってしまったわけです、はい。
photo by Terri Weifenbach
2002年05月26日
ヒカリnoチカラ
最寄の駅から家に向け自転車を走らせていた時、
ふと横を見ると、雨上がりの小さな公園に、陽が差し込んでいた。
僕は、普段、カメラを持ち歩かない。
しかしよく、「この場面を撮りたい!」という衝動にかられることがある。
今日、たまたまその公園が目に入った時もそうだった。
僕は急いで家に帰って、カメラを持って再び公園に向かった。
だが、ある程度予想はしていたが、差し込む光の角度は大きく変わってしまっていて、
もう、さっき見た風景ではなかった。
つまり、シャッターチャンスを逃したのである。
それでも雨あがりに晴れ間がのぞいた時の、
反射するまぶしい感じの風景を何ヶ所かでみつけたので、
10枚ぐらい撮ってから家に戻った。
光が景色を別のものにする力に、またも実感させられた出来事だった。
>本日のテーマ THE APPLESEED CAST "A PLACE IN LINE"