2009年02月27日 [ "euphoria" travel ]
2%増しの微笑み
大学のとき、教養科目で社会心理学を受講したのですが、
そのなかで出てきた、ウイリアム・ジェームズという心理学者の、
「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」という言葉。
それを実証する実験が紹介されました。
同内容のマンガを普通の表情で読んだ複数の人と
割り箸を口にくわえたまま、つまり、
強引に笑顔を作らせて、読んだ複数の人とで、
マンガの内容をどの程度面白く感じたかを比べるというもので、
結果は、割り箸をくわえていた人の方が、
より多く、面白く感じていた、という実験結果。
この他にも、「幸せだから歌うのではなく、歌うから幸せになる」、
という言葉もありました。
*
一週間ほど過ごした、北海道の、のどかな田舎町での時間。
普段の生活では、持つことのできないでいた、
ゆったりとした大きな視点をイメージすることができて、
自分がするべきこと、大切にしていきたいことなどが、
自然とふつふつと浮かび上がってきました。
山や海などの自然に囲まれた環境や、
すれ違う人たちの豊かな表情などがあたえてくれた、
影響が大きいと思うのですが、
それだと、東京での日常に戻ったら、どうなるのかな、と。
そういえば、この田舎町で過ごしている間は、
いつもの自分の表情より、常に、微笑み具合が2割増しくらいだったなぁ、
と感じて、そんなとき、ウイリアム・ジェームズの言葉を思い出したのです。
ということで、東京へ向かう飛行機の中から、
意識的に、ほんの少しの微笑みを大切にしてみた。
本を読みっぱなしでも、飛行機酔いすることなく、
お、なかなかいいかも、と感じているうちに、羽田に到着。
しかし、ここからが大変。
田舎町からのギャップもあり、駅構内の人の多さに戸惑う。
そして、ほとんどの人が、なにかに急いでいる。
眉間に皺をよせた、険しい表情があちらこちらに立ち並ぶ。
ここで、微笑み具合が2割増しなんてとぼけたことを考えていたら、
変な人だと思われるだそうし、迷惑になるなぁ、と感じたのですが、
それでは、なにも変わらない、と思い、
20%ではなくて、ほんの2%増しくらいの、微笑みを意識することに。
きっとこの2%が自分にも周りに対しても、大切なんだ、と言い聞かせながら。
*
そして家に到着してすぐ、夜から翌朝までのeuphoriaのスタジオリハへ。
旅行の疲れで、ちょっと体が重かったけれど、
一週間ぶりに3人で音を出すと、その気持ちよさで、すぐに元気になる。
新しいアルバム制作に向けた新曲作りの真っ最中。
曲作りの会話で、
「ドラムから入って、次はギターかな、ベースかな?」と僕が言うと、
ドラムスきのした先生が、自信と確信にみちた堂々とした口調で、
「ギース!」
「わわっ、どっちだよ(笑)!」
スタジオが大笑いで包まれる。
結局は、2%の微笑みがどうのこうの、
なんてことではなくて、
ほんとうに大切なことは、
ドラムスきのした先生のような存在なのかも、と思ったのでした。
そんなこんなで、東京での生活がはじまりました。